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拍手御礼より再録
シャンクス不在のシャンAのつもりがなんかマルエーっぽい
シャンクス不在のシャンAのつもりがなんかマルエーっぽい
ふとした事からエースと赤髪の関係を知った。
弟の恩人となればあまり酷く言うのもはばかられるが、エースが赤髪に寄せる好意と言うものにはいささか……否、かなりイラっとさせられる。
事情が事情であること、相手が赤髪であること、エースのオヤジへの忠誠心を知っていること、そう言う様々な事が影響して、オヤジはエースが時たま赤髪に会いに行くことを許している。もちろん、諸手を上げて賛成と言うわけではないが。
マルコたちにしてみればオヤジが許しているのに口を出すのも気が引けて、苦々しい顔をしつつも黙って見送っている。
「エースにストライカーを作ってやったのは失敗だったかもしれねえな」
ボソリと呟いた船大工の長老の言葉に頷いてしまいたくなる。
「エースもなぁ、ちょっとファザコンっぽいトコあるからなぁ」
オヤジに対する忠誠や弟に対する愛情とは別の部分で赤髪に惹かれているらしい。
赤髪は確かに、魅力的な男ではある。
だがオヤジよりも先に出会っていたはずの赤髪の下に留まらなかったのは、エースなりにいろいろ考えた結果だろうし。だから、エースが今更オヤジを裏切り赤髪の傘下に下ることは考えられないが。
やはり、面白くないものは面白くない。
まして、エースの情人にはもう既に、相方と呼ぶべき相手がいるとなっては尚更に。
エースならば他に幾らでも相手はいるだろうに、なぜ、赤髪なのだと問い詰めたくなる。だが問い詰めたところでエースにもはっきりとした答えが無いことは予想できるし、答えが無いことが、かえって手の打ちようのない事態であることの証のようで、マルコはただ黙っていることしかできない。
エースは赤髪の側に常に控える、あの長身の男の事を知っているのだろうか。知らずにいそいそと通っているのだとすれば、
「あの野郎、ぶっ殺す」
思わずボソッとつぶやいた言葉に、隣にいた若手がびくっと肩を震わせた。
だが、逆に考えると赤髪はともかくとして、あの銀髪の副船長は何を考えているのだろう。まさか二十歳そこそこのガキを相手に嫉妬で殺傷沙汰など起こすことはないだろうが、面白くはないだろうに。
人の色恋に口を出す気はないが、事が大事な弟分となれば話は別だ。
だが、海賊としての赤髪やその右腕は知っているが、一人の人間としての彼らをマルコはほとんど知らない。
「エース」
夜明けとともにエースが戻ってきた気配があった。マルコはベッドから降りると隣の部屋の扉を叩いた。
「なんだ?」
「ちょっといいか?」
「?どうぞ」
ベッドに腰かけたエースから少し離れた場所に椅子を置き、腰掛ける。エースは首を傾げてマルコをじっと見ていた。
「随分早く戻ってきたな」
「うん。シャンクスんとこの船、これから移動するって言うからさ。あんまり離れちゃうとこっち戻って来るの大変だろ?」
「そうかい」
だったら、初めから行かなければいいのだ。
そう口にできたらどれだけ楽か。
「エース。お前、赤髪の副船長とは良く話すのかい?」
「ベック?うーん、もともとベックがおしゃべりじゃないからなァ。まあシャンクスが賑やかだからベックがしゃべんなくてもいいんだろうけどさ。でもまあ、話はするよ。普通にね」
「そうか」
マルコは煙草を吸おうとして部屋に置いてきてしまったことに気付いた。
「赤髪と、副船長の事は知っているのかい?」
その瞬間、エースは少し驚いたような顔をした。
「うん。知ってるけど、マルコはなんで知ってるのさ」
関係が悪いわけではないとはいえ、一応は敵船だ。相手の弱点になりうる事は情報として入って来る。もっとも、こういうことを戦闘に使うことはオヤジもマルコも好まないのでどうでもいいと思っていたのだが。
「それは赤髪が言ったのか?」
「そんなの見てればわかるし、それにシャンクスはほとんど煙草吸わないけど、ベッドにベックの煙草の匂いが染みついてるんだ」
エースはクスッと笑った。
ベッドなどと生々しい話を聞かされるのは不愉快だが、始めたのはこちらの方だ。仕方なくマルコは話を続ける。
「それで、お前は構わねえのかい?」
「構うも構わないもねえよ。シャンクスは俺を可愛がってくれるけどさ、俺とベックじゃ勝負にならねえもん」
マルコが不可思議な顔をしたせいか、エースはまた笑った。
「あんまし、言いたくねえからこれっきりにしてくれよ?あのな、俺とベックじゃ役目が違うんだ」
わかる?と視線で言われ、マルコは少し考えた後頷いた。
「だからベックは俺を見逃してくれるんだ」
「……そんなことが理由になるかい」
「十分な理由さ。シャンクスは絶対に俺には抱かれないよ。絶対だ」
「……」
「あのおっさんなりに、真面目に純愛してんだ」
その真剣さが常人とは少々基準が違うだけで。
「どこが純愛だよい」
「あははは。だよなー。あの二人はやっぱりちょっと変だよなー」
その「変」の中に自分が混じっているとはかけらも思っていないらしいエースにマルコが溜息を吐いた。
「ちゃんとわかった上で、俺はシャンクスに会いに行ってんだ。だからさ、そんな心配しないでよ」
「……」
「引き際ぐらい、ちゃんと見極められるから」
「………………わかったよい」
マルコは溜息を吐いて立ちあがった。
「マルコ」
ドアを開けようとしたマルコにエースが声を掛ける。
「怒ってる?」
「……少しな」
「……ごめん」
「……」
恋愛などと言うものは頭で理解していてもどうにもならないこともある。
まして、エースはまだ若い。
「お休み、エース」
「お休み、マルコ」
部屋に戻ったマルコは、ベッドに座って煙草を咥えた。深く吸い込み、吐き出す。
遅かれ早かれ、エースは赤髪と離れなくてはならなくなる。それが彼が選んだ海賊と言う道だ。
「本当に……ぶっ殺してやりてえよい」
残酷な男に惚れたバカな弟分が、いつか傷ついた時、せめて側にいてやろう。
弟の恩人となればあまり酷く言うのもはばかられるが、エースが赤髪に寄せる好意と言うものにはいささか……否、かなりイラっとさせられる。
事情が事情であること、相手が赤髪であること、エースのオヤジへの忠誠心を知っていること、そう言う様々な事が影響して、オヤジはエースが時たま赤髪に会いに行くことを許している。もちろん、諸手を上げて賛成と言うわけではないが。
マルコたちにしてみればオヤジが許しているのに口を出すのも気が引けて、苦々しい顔をしつつも黙って見送っている。
「エースにストライカーを作ってやったのは失敗だったかもしれねえな」
ボソリと呟いた船大工の長老の言葉に頷いてしまいたくなる。
「エースもなぁ、ちょっとファザコンっぽいトコあるからなぁ」
オヤジに対する忠誠や弟に対する愛情とは別の部分で赤髪に惹かれているらしい。
赤髪は確かに、魅力的な男ではある。
だがオヤジよりも先に出会っていたはずの赤髪の下に留まらなかったのは、エースなりにいろいろ考えた結果だろうし。だから、エースが今更オヤジを裏切り赤髪の傘下に下ることは考えられないが。
やはり、面白くないものは面白くない。
まして、エースの情人にはもう既に、相方と呼ぶべき相手がいるとなっては尚更に。
エースならば他に幾らでも相手はいるだろうに、なぜ、赤髪なのだと問い詰めたくなる。だが問い詰めたところでエースにもはっきりとした答えが無いことは予想できるし、答えが無いことが、かえって手の打ちようのない事態であることの証のようで、マルコはただ黙っていることしかできない。
エースは赤髪の側に常に控える、あの長身の男の事を知っているのだろうか。知らずにいそいそと通っているのだとすれば、
「あの野郎、ぶっ殺す」
思わずボソッとつぶやいた言葉に、隣にいた若手がびくっと肩を震わせた。
だが、逆に考えると赤髪はともかくとして、あの銀髪の副船長は何を考えているのだろう。まさか二十歳そこそこのガキを相手に嫉妬で殺傷沙汰など起こすことはないだろうが、面白くはないだろうに。
人の色恋に口を出す気はないが、事が大事な弟分となれば話は別だ。
だが、海賊としての赤髪やその右腕は知っているが、一人の人間としての彼らをマルコはほとんど知らない。
「エース」
夜明けとともにエースが戻ってきた気配があった。マルコはベッドから降りると隣の部屋の扉を叩いた。
「なんだ?」
「ちょっといいか?」
「?どうぞ」
ベッドに腰かけたエースから少し離れた場所に椅子を置き、腰掛ける。エースは首を傾げてマルコをじっと見ていた。
「随分早く戻ってきたな」
「うん。シャンクスんとこの船、これから移動するって言うからさ。あんまり離れちゃうとこっち戻って来るの大変だろ?」
「そうかい」
だったら、初めから行かなければいいのだ。
そう口にできたらどれだけ楽か。
「エース。お前、赤髪の副船長とは良く話すのかい?」
「ベック?うーん、もともとベックがおしゃべりじゃないからなァ。まあシャンクスが賑やかだからベックがしゃべんなくてもいいんだろうけどさ。でもまあ、話はするよ。普通にね」
「そうか」
マルコは煙草を吸おうとして部屋に置いてきてしまったことに気付いた。
「赤髪と、副船長の事は知っているのかい?」
その瞬間、エースは少し驚いたような顔をした。
「うん。知ってるけど、マルコはなんで知ってるのさ」
関係が悪いわけではないとはいえ、一応は敵船だ。相手の弱点になりうる事は情報として入って来る。もっとも、こういうことを戦闘に使うことはオヤジもマルコも好まないのでどうでもいいと思っていたのだが。
「それは赤髪が言ったのか?」
「そんなの見てればわかるし、それにシャンクスはほとんど煙草吸わないけど、ベッドにベックの煙草の匂いが染みついてるんだ」
エースはクスッと笑った。
ベッドなどと生々しい話を聞かされるのは不愉快だが、始めたのはこちらの方だ。仕方なくマルコは話を続ける。
「それで、お前は構わねえのかい?」
「構うも構わないもねえよ。シャンクスは俺を可愛がってくれるけどさ、俺とベックじゃ勝負にならねえもん」
マルコが不可思議な顔をしたせいか、エースはまた笑った。
「あんまし、言いたくねえからこれっきりにしてくれよ?あのな、俺とベックじゃ役目が違うんだ」
わかる?と視線で言われ、マルコは少し考えた後頷いた。
「だからベックは俺を見逃してくれるんだ」
「……そんなことが理由になるかい」
「十分な理由さ。シャンクスは絶対に俺には抱かれないよ。絶対だ」
「……」
「あのおっさんなりに、真面目に純愛してんだ」
その真剣さが常人とは少々基準が違うだけで。
「どこが純愛だよい」
「あははは。だよなー。あの二人はやっぱりちょっと変だよなー」
その「変」の中に自分が混じっているとはかけらも思っていないらしいエースにマルコが溜息を吐いた。
「ちゃんとわかった上で、俺はシャンクスに会いに行ってんだ。だからさ、そんな心配しないでよ」
「……」
「引き際ぐらい、ちゃんと見極められるから」
「………………わかったよい」
マルコは溜息を吐いて立ちあがった。
「マルコ」
ドアを開けようとしたマルコにエースが声を掛ける。
「怒ってる?」
「……少しな」
「……ごめん」
「……」
恋愛などと言うものは頭で理解していてもどうにもならないこともある。
まして、エースはまだ若い。
「お休み、エース」
「お休み、マルコ」
部屋に戻ったマルコは、ベッドに座って煙草を咥えた。深く吸い込み、吐き出す。
遅かれ早かれ、エースは赤髪と離れなくてはならなくなる。それが彼が選んだ海賊と言う道だ。
「本当に……ぶっ殺してやりてえよい」
残酷な男に惚れたバカな弟分が、いつか傷ついた時、せめて側にいてやろう。
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