忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

副シャンAでバカ話。品がねえ。
拍手御礼の再録です。


 エースが赤髪の船を訪れるようになってしばらく経つ。初めこそただ遊びに来ているだけだと思っていたクルーたちも、宴会後に必ずシャンクスに船長室へと拉致られていくエースを見ているうちに、コレはどうやら船長のアレらしいぞ、と悟り始めたようだ。
 昨夜もふらりと現れたエースを自室に引っ張り込んだシャンクスは、朝食の時間になってもまだ食堂に姿を現していない。
 公言しているわけでもないが隠しているわけでもない船長と副船長の関係に、この新進気鋭の若き海賊は一体どういう影響を及ぼすのだろうか。同じ船に乗っている立場としては些かなりとも気になるのは当然だ。と言って船長に訊いたところでまともな答えが返ってくるとは思えないし、副船長に面と向かって訊ける神経の持ち主はこの船にはいない。否、いることはいるが当事者なので意味がない。
「エースよぉ」
「ん?」
 未だ寝こけているシャンクスを放置してさっさと朝食を食べに食堂にやってきたエースを古参の海賊たちが取り囲む。
「おめぇさ、お頭とベックのコト知ってるよな?」
「?うん?知ってるけど?」
「……知ってて、その、お頭とよぉ……あー」
 エースはモグモグと口を動かしながらじっとヤソップの顔を見ている。
「オマエ、気まずくねえのか?」
 少し首を傾けて考えていたエースはひょいと肩を竦めた。
「んー……」
 ちらっと自分を取り囲むメンバーを見まわし、
「ま、この面子ならいっか」
 そう言ってヘラっと笑う。
「おれ、おっさんとするときネコなんだよね」
「あ?」
「だからさぁ、おっさんはおっさんで副船長に操立ててるつもりなわけ。一応」
 海賊たちが顔を見合わせる。
「あー……なるほどねー……」
「みんなが思ってる以上に、ラブラブなんだよな、あの二人。だから、気まずいってことはあんまねえんだけど」
 どうせおれは遊び相手だしね。
「お前さんはそれでもいいのかい?」
「ん?おれは楽しければいい」
 おっさんもおんなじだよと笑う。
「お頭に惚れてるわけじゃねえのか?」
「惚れるぅ?あのおっさんにぃ?」
 ないない、と手を振りながらぎゃはははとエースが笑った。
「おれたちはこれくらいで丁度いいんだ」
 もし、どちらかが今以上のものを相手に求め始めれば、その瞬間から今の関係は成立しなくなる。
「なぁ、エース」
「ん?」
「いっぺん訊いてみたかったんだけどよ、なんでお頭とするんだ?」
「なんでって……気持ちイイからだろ、そんなの。あと、面白い」
「は?」
 面白い?
 あまり情事の感想として使われる言葉ではないと思うのだが。
「面白い、のか??」
「うん。おもしれえぞ。腕一本で如何に早く女の服脱がせながら自分も素っ裸になるかとかさぁ、解説付きで実演したりさ。
あっ!そうそう……ククッ。あのおっさんホントにバカだよなぁ。チンコ使って腹話術とかするんだ」
「はぁ?」
 エースは思い出したのかゲラゲラと笑っている。
「それがすっげえ上手いの。チンコの動きに合わせてセリフ付けるんだけど、笑っちまうんだよなー」
「……へ、へぇ……」
 そんな状況からどうやって色っぽい展開に持っていくのか。
「アレって一人で練習してんのかな?ぷぷっ……ば、バカみてぇだよな!!」
「ぶはっ…!!」
 流石にそれを想像すると笑える。エースを取り囲む男たちも笑いだす。
「あ!それともアレかな、副船長相手に練習とかしてんのかな?」
「ひゃーひゃっひゃっひゃ!!!」
 テーブルをバンバン叩いて笑っている男たちの背後から低い声が聞こえた。
「何の練習をしてるって?」
「!?」
「あ、副船長―。おはよー」
 カチンと固まってしまった男たちの中で一人笑顔のエースが挨拶をする。
「おはよう」
「夜ワッチだったんだ?」
「ああ」
 エースがすっとずれて空けた席に副船長が座る。
「で、何の練習をするって?」
「あのさぁ、副船長はシャンクスの腹話術見たことある?」
「エ、エースっ!」
 慌ててエースの口を塞いだが、遅かったようだ。
「腹話術?」
まじまじとエースの顔を見た副船長は深々と溜息を吐いた。
「アレ、か」
 ぼそっと答えた言葉に反応したのはエースよりも周りにいた海賊たちの方だった。
「えええええ!」
「見たことあんのか!?」
「マジでベック相手に練習したのかよ……」
 見せられたベックマンが大口開けて笑うとは到底思えないが。
「練習かどうかは知らねえが、お披露目はしてくれた」
「うわぁ……」
「あれ面白いよな!」
 微妙な空気をまるで無視してエースが笑う。
「……」
「あれ?」
「時々部屋からバカ笑いが聞こえるのはそのせいか……」
「面白くねえ?」
 心底嫌そうに眉を顰めたベックマンは、黙ってコーヒーを口に含んだ。
「あれぇ?」
 首をかしげて不思議そうにしているエースにベックマンが言う。
「お前たち、二人で部屋に籠ってそんなことしてるのか?」
「いや、ちゃんとエッチもしてるけど。ちょっと休憩とかするじゃん?ほっとくとおれ寝ちゃうから」
 本妻と愛人の会話になんとなく居心地の悪さを感じ始めた海賊たちが一人また一人とそっと離れていく。
「アレを見た後、再開する気になるのか?」
「えー?なるよ?」
「………………そうか」
「副船長はならねぇのか?」
 ベックマンはちらっとエースを見て肩を竦めた。
「ならん」
「へぇ……でもそれじゃシャンクス可哀そうじゃねえ?せっかく楽しませてくれてんのに」
「いらん気使いだ」
 そもそも、ベックマンとエースではベッドの上での役割が違うのだ。コトに及ぶまでの心構えも違う。
「楽しい方がいいじゃん」
「ああいうことにおける楽しさはそういうコトじゃないだろう」
「あ、副船長もエッチするの楽しいんだ?」
 会話がそのあたりに及んだ頃には、二人の周囲には丸く無人の空間が出来上がっていた。
「そりゃ、まあ……」
「そうだよな、やっぱり」
 エースは何やら納得したようで、うんうん、と頷いている。
「シャンクスがさ、副船長はやるときあんまり笑わねえっていうから」
「……」
 だから、そういう楽しさではないと言っているだろう。大体人のいないところで何を話しているんだ、あの男は。
 ベックマンは額を抑えてうつむいた。
「おー、おはよう」
 寝起きのくしゃくしゃの髪のままシャンクスが食堂へとやってきた。
「腹減ったー。なんか食うもん残ってるか?」
 ぺたぺたと草履を鳴らして近づいてくるシャンクスを一瞥すると、ベックマンは深々と溜息を吐き、黙って立ち上がりギャレーへと入って行った。
「おはよ、おっさん」
「おう」
 今までベックマンが座っていたエースの隣の席に座ったシャンクスは、ふわぁ、と大きく欠伸をして頬杖をついた。
「今副船長にな、シャンクスとやるの楽しいかって訊いてたんだ」
「へー。で、なんて?」
「楽しいって」
「そりゃそうだろう」
 だっはっは、とシャンクスが笑った。
「でも腹話術はいらねえって言ってたぞ」
「あー……そうなんだよ。アイツ喜ばねえんだよな、アレ」
 せっかく見せてやったのになー。とシャンクスが口を尖らせた。
「一回戦した後にさ、見せてやったわけだ」
「うん」
「そしたらよぉ、こーんなに眉間に皺寄せて、なっげえ溜息吐いてさ、さっさと服着て部屋出て行っちまった」
「えー。せっかくしてんのに一回で終わり?おれそんなの絶対つまんねー」
「だよなー」
 シャンクスの食事を持って戻ってきたベックマンは、無言でトレーをシャンクスの前に置いた。
「お、サンキュ」
「……俺は寝る」
 低く唸るような声でそう言い、気のせいか心持肩を落としたベックマンは食堂から出て行った。
「おーう。お疲れさーん」
「なぁ」
「んん?」
 ベックマンを見送ったエースが言う。
「副船長、海賊にしちゃちょっと繊細すぎるんじゃねえ?」
「そうだなぁ」
 いやいやいやいや、そうじゃねえだろう。
遠巻きに事態を見ていた海賊たちは、心の中でツッコむ。
「いやー……ありゃあ気まずいなんて感覚持ち合わせてねえなぁ」
 ボソッとつぶやいたヤソップに静かに頷いた海賊たちはこれ以上怖い会話は訊きたくないと、そっと食堂から退散した。


PR
この記事にコメントする
名前
題名
メールアドレス(非公開)
URL
コメント
文字色   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード
AD 忍者ブログ [PR]
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
リンク
フリーエリア
最新CM
[12/20 tordpooto]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
最古記事