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拍手お礼より再録。
エース初恋話。一応マルエー。ほのぼのと。
エース初恋話。一応マルエー。ほのぼのと。
「あっ!」
うっかり破いてしまったシャツを繕ってくれているナースを、船縁に腰掛けて見ていたエースは声を上げた。
『そうか、マキノに似てるんだ』
化粧もバッチリお色気タップリ、自分たちが白ひげ海賊団の華であることを自覚し、しっかりとその役目を果たしているナースたちの中で、彼女は少しタイプが違った。チシャという名前の彼女は、美人であることは間違いないが、いつもニコニコしていて元気が良く、健康的に日焼けをした顔は化粧気も少ない。他のナースたちが豪華で可憐なバラやユリだとすれば、派手さはないが明るいガーベラのような人だ。
「なあに?」
「え?」
ちらっと視線を向けられて、それがさっきエースが声を上げたことへの質問だと気づいた。
「あ、いや、なんでもねえんだ。ちょっと、思いだしたことがあってさ」
「ふうん?」
甲板にぺったりと座ったチシャは今日は非番だとかで、ナース服を着ていない。日焼けしてすらりとした長い脚がショートパンツから伸びていた。
大きな瞳がまたエースをチラッと見た。
「わかった!弟の事考えてたんでしょ」
「あー、近いけど、」
「違うの?」
「うん」
チシャには年の離れた弟がいるのだと言う。だからルフィのことを話すととても嬉しそうに聞いてくれる。放っておくとずっとルフィについて話しているエースにニコニコして付き合ってくれるのはチシャだけだ。
「じゃあ何考えてたの?」
「んー……」
マキノに初めて会った時、まだ10歳だったエースはとても混乱した。それまで女と言えば、ダダンとゴミ山に住む女か石壁の向こう側に住む冷たい目をして着飾った人間しか見たことがなかったのだ。
襤褸を着て、泥やごみで汚れていたエースたちを見ても、嫌な顔一つせず優しく笑いかけてきた。
マキノはフーシャ村からルフィを心配してきたらしいがエースやサボがいることを知って、次に来たときには3人分の服を選んで来てくれた。新しい服を持ってくる度に「すぐに大きくなっちゃうのね」と嬉しそうに笑っていたのを覚えている。
帰りがけにマキノはいつも3人を1人ずつギュッと抱きしめて「また来るわね」と笑いかけてくれた。
マキノは柔らかくて、なんだかとてもいい匂いがした。
今思えば、アレはエースにとっての初恋だったのかも知れない。
「ハツコイノヒトのこと」
チシャは「ま!」と目を見開き、悪戯っぽく笑った。
「そう言うコト、マルコ隊長には言わない方がいいわよ」
「なんで?」
「なんでって……付き合ってるんでしょ?」
「うん」
「怒るわよ」
「怒んねえよ」
「そうかなぁ?」
チシャは不満そうに唇を尖らせた。そんな顔をすると年より幼く見えて可愛らしいな、とエースは思う。
「で、どんな子だったの?」
「可愛い人だったな。優しくてさ」
そう言えば初めて髪を綺麗に切ってくれたのもマキノだった。マキノのほっそりとした指がエースの癖のある髪を梳いてくれたとき、すごくドキドキした。マキノの指は少し荒れていて、どうしたのだと問えば「お店をやっているから、洗い物で荒れちゃうの」と少し恥ずかしそうに指を隠した。その仕草も可愛らしくて。
散々暴れまわったせいで破れてしまった三人の服を「しょうがないわね」と笑いながら繕ってくれた。器用に針を操るマキノの手が、エースは好きだった。だから「俺はマキノの手が好きだよ」と言ったら、顔を真っ赤にして「ありがとう、嬉しいわ」と笑ってくれた。
「チシャが縫物してるのを見て思いだしたんだ」
「ふうん?」
「少し、チシャに似てるなって思って」
それは光栄ね、とチシャが笑う。
マキノはどちらかと言うと色白だったし、いつも長めのスカートをはいていてこんなふうに足をむき出しにしたりはしなかった。黒髪以外に外見で似ているところはあまりない。でも、なんだか似ている気がしたのだ。
「年上?」
「年上だよ。姉さんみたいでさ。でもたまにしか会えないから会える時はすげえドキドキしたし、楽しみだったな」
エースはへへへっと照れくさそうに笑った。
「ふふん、大人の女に惹かれたわけだ」
「そうそう!でもあの頃はすっごい大人に見えたけど……今の俺と変わんなかったのかも知れないな」
「あら?もしかしてその頃エース隊長ってば未だすごく子供?」
「そりゃ子供だよ。初めて会ったのは、10歳の時だもん」
なーんだ、残念、とチシャが笑った。
「残念って何さ」
「だってエース隊長の恋の話なんて、マルコ隊長との事くらいしか聞いたことないから」
「なんだよー、ちゃんとハツコイの話じゃんか」
「お子さまのコイバナじゃね」
ナースのお姉さま方は満足しないのよ、とチシャはけらけらと笑った。
思春期に入る頃になると、別れ際のマキノの抱擁が恥ずかしくて、それを嫌がって見せるとマキノは少し淋しそうな顔をしていた。そのくせエースは無邪気にマキノに抱きつくルフィをうらやましく思っていて、マキノが帰った後にルフィを抱きしめてみたりした。
「ねえ、その人に会いたい?」
「そりゃ会いたいよ。いま会えたら俺だってもっと優しくできるし、素直に感謝できるのにさ。力仕事だって手伝える」
あの頃はマキノの優しさをくすぐったく思って、わざと困らせたり、生意気なことを言ったりしていたけれど。
でもマキノは「こらっ!」と怒りながらも笑っていた。
島を出る時、エースはルフィと山賊達以外には告げずに旅立った。マキノにも、何も言わなかった。
「今なら、抱きしめられるだけじゃなくて、抱きしめることだってできるのにな」
「なんの話だよい」
突然影が二人を覆った。
「……あら、マルコ隊長」
振り返れば腕だけ翼に変化したマルコがエースの背後に立っていた。
「マルコ!お帰り!」
偵察から戻って見れば、いきなり聞かされた爆弾発言。問い詰めてやろうと思ったのに、ニッコリと笑って出迎えた年下の恋人には後ろ暗そうな部分なんてまるでなくて、マルコはぐっと眉を寄せそれから溜息を吐いた。
「ただいま」
クシャッとエースの髪を撫で、船縁から降りる。
「ハイ!エース隊長。出来たわよ」
「おお!ありがとう!完璧だ!」
エースがチシャから受け取った布になんだかちょっと見覚えがある気がする。
「エース、そりゃ……なんだよい」
「ん?シャツだよ!うっかり破いちまって、チシャが縫ってくれたんだ!」
バサッと広げて見せたのは、どう見てもマルコのシャツで。
「……俺のじゃねえかよいっ!」
なんで破けてんだ!とぽかりと殴るとエースがギャッと悲鳴を上げた。
「イテえッ!ちゃんと縫ってもらったんだからいいじゃねえか!」
「ったく……」
スタスタと歩いて行ってしまったマルコの背中に、殴られた頭をさすりながらエースはベーッと舌を出した。
チシャがクスッと笑い声を顰めて言った。
「エース隊長、マルコ隊長はね、焼きもち妬いてるのよ」
「??ヤキモチ?なんで?」
「エース隊長が初恋の人を抱きしめたいなんて言っちゃうから」
「……えっ!」
その瞬間、エースの顔は真っ赤に染まりそれからパアアアッと嬉しそうに笑った。
「や、ヤベッ!どうしよっ!うれしいっ!」
うひゃあ!と声を上げ、ジタバタと足をばたつかせる。
「追いかけたほうがいいんじゃない?」
「おうっ!」
走り出そうとして、エースが足を止める。
「なあ、チシャ。今度は髪、切ってくれねえ?」
くるりと振り返ったエースの顔は、白ひげの隊長の顔つきではなくてまるで小さな子供のようで。
「いつでもどうぞ」
「しししっ!」
チシャが縫い終えたシャツを握ってマルコの下に走り出す。
「おーい!マルコーッ!」
パタパタと走って行くエースの先には立ち止まったマルコの姿。
「このシャツ、もう着ねえなら俺にくれ」
「……好きにしろよい」
「へへへっ!サンキュ!」
聞こえてくる二人の会話に思わず笑みが零れた。
エースの初恋の話は残念ながらお姉さま方に報告できるようなスキャンダラスな話ではなかったけれど、マルコが焼きもちを妬くところを見られたのだから収穫は十分、とチシャは満足気に笑った。
エースが初めてちゃんと見た綺麗な(心身ともに)女の人ってマキノだと思うんだ。
「なんかいい匂いすんなぁ……」なんてドキドキして頬を染めてたらもう本気で可愛いわ……
そんでもって私はやっぱりマキノがお気に入りらしい。てかワンピキャラの女の人ってかわいいよねー。
うっかり破いてしまったシャツを繕ってくれているナースを、船縁に腰掛けて見ていたエースは声を上げた。
『そうか、マキノに似てるんだ』
化粧もバッチリお色気タップリ、自分たちが白ひげ海賊団の華であることを自覚し、しっかりとその役目を果たしているナースたちの中で、彼女は少しタイプが違った。チシャという名前の彼女は、美人であることは間違いないが、いつもニコニコしていて元気が良く、健康的に日焼けをした顔は化粧気も少ない。他のナースたちが豪華で可憐なバラやユリだとすれば、派手さはないが明るいガーベラのような人だ。
「なあに?」
「え?」
ちらっと視線を向けられて、それがさっきエースが声を上げたことへの質問だと気づいた。
「あ、いや、なんでもねえんだ。ちょっと、思いだしたことがあってさ」
「ふうん?」
甲板にぺったりと座ったチシャは今日は非番だとかで、ナース服を着ていない。日焼けしてすらりとした長い脚がショートパンツから伸びていた。
大きな瞳がまたエースをチラッと見た。
「わかった!弟の事考えてたんでしょ」
「あー、近いけど、」
「違うの?」
「うん」
チシャには年の離れた弟がいるのだと言う。だからルフィのことを話すととても嬉しそうに聞いてくれる。放っておくとずっとルフィについて話しているエースにニコニコして付き合ってくれるのはチシャだけだ。
「じゃあ何考えてたの?」
「んー……」
マキノに初めて会った時、まだ10歳だったエースはとても混乱した。それまで女と言えば、ダダンとゴミ山に住む女か石壁の向こう側に住む冷たい目をして着飾った人間しか見たことがなかったのだ。
襤褸を着て、泥やごみで汚れていたエースたちを見ても、嫌な顔一つせず優しく笑いかけてきた。
マキノはフーシャ村からルフィを心配してきたらしいがエースやサボがいることを知って、次に来たときには3人分の服を選んで来てくれた。新しい服を持ってくる度に「すぐに大きくなっちゃうのね」と嬉しそうに笑っていたのを覚えている。
帰りがけにマキノはいつも3人を1人ずつギュッと抱きしめて「また来るわね」と笑いかけてくれた。
マキノは柔らかくて、なんだかとてもいい匂いがした。
今思えば、アレはエースにとっての初恋だったのかも知れない。
「ハツコイノヒトのこと」
チシャは「ま!」と目を見開き、悪戯っぽく笑った。
「そう言うコト、マルコ隊長には言わない方がいいわよ」
「なんで?」
「なんでって……付き合ってるんでしょ?」
「うん」
「怒るわよ」
「怒んねえよ」
「そうかなぁ?」
チシャは不満そうに唇を尖らせた。そんな顔をすると年より幼く見えて可愛らしいな、とエースは思う。
「で、どんな子だったの?」
「可愛い人だったな。優しくてさ」
そう言えば初めて髪を綺麗に切ってくれたのもマキノだった。マキノのほっそりとした指がエースの癖のある髪を梳いてくれたとき、すごくドキドキした。マキノの指は少し荒れていて、どうしたのだと問えば「お店をやっているから、洗い物で荒れちゃうの」と少し恥ずかしそうに指を隠した。その仕草も可愛らしくて。
散々暴れまわったせいで破れてしまった三人の服を「しょうがないわね」と笑いながら繕ってくれた。器用に針を操るマキノの手が、エースは好きだった。だから「俺はマキノの手が好きだよ」と言ったら、顔を真っ赤にして「ありがとう、嬉しいわ」と笑ってくれた。
「チシャが縫物してるのを見て思いだしたんだ」
「ふうん?」
「少し、チシャに似てるなって思って」
それは光栄ね、とチシャが笑う。
マキノはどちらかと言うと色白だったし、いつも長めのスカートをはいていてこんなふうに足をむき出しにしたりはしなかった。黒髪以外に外見で似ているところはあまりない。でも、なんだか似ている気がしたのだ。
「年上?」
「年上だよ。姉さんみたいでさ。でもたまにしか会えないから会える時はすげえドキドキしたし、楽しみだったな」
エースはへへへっと照れくさそうに笑った。
「ふふん、大人の女に惹かれたわけだ」
「そうそう!でもあの頃はすっごい大人に見えたけど……今の俺と変わんなかったのかも知れないな」
「あら?もしかしてその頃エース隊長ってば未だすごく子供?」
「そりゃ子供だよ。初めて会ったのは、10歳の時だもん」
なーんだ、残念、とチシャが笑った。
「残念って何さ」
「だってエース隊長の恋の話なんて、マルコ隊長との事くらいしか聞いたことないから」
「なんだよー、ちゃんとハツコイの話じゃんか」
「お子さまのコイバナじゃね」
ナースのお姉さま方は満足しないのよ、とチシャはけらけらと笑った。
思春期に入る頃になると、別れ際のマキノの抱擁が恥ずかしくて、それを嫌がって見せるとマキノは少し淋しそうな顔をしていた。そのくせエースは無邪気にマキノに抱きつくルフィをうらやましく思っていて、マキノが帰った後にルフィを抱きしめてみたりした。
「ねえ、その人に会いたい?」
「そりゃ会いたいよ。いま会えたら俺だってもっと優しくできるし、素直に感謝できるのにさ。力仕事だって手伝える」
あの頃はマキノの優しさをくすぐったく思って、わざと困らせたり、生意気なことを言ったりしていたけれど。
でもマキノは「こらっ!」と怒りながらも笑っていた。
島を出る時、エースはルフィと山賊達以外には告げずに旅立った。マキノにも、何も言わなかった。
「今なら、抱きしめられるだけじゃなくて、抱きしめることだってできるのにな」
「なんの話だよい」
突然影が二人を覆った。
「……あら、マルコ隊長」
振り返れば腕だけ翼に変化したマルコがエースの背後に立っていた。
「マルコ!お帰り!」
偵察から戻って見れば、いきなり聞かされた爆弾発言。問い詰めてやろうと思ったのに、ニッコリと笑って出迎えた年下の恋人には後ろ暗そうな部分なんてまるでなくて、マルコはぐっと眉を寄せそれから溜息を吐いた。
「ただいま」
クシャッとエースの髪を撫で、船縁から降りる。
「ハイ!エース隊長。出来たわよ」
「おお!ありがとう!完璧だ!」
エースがチシャから受け取った布になんだかちょっと見覚えがある気がする。
「エース、そりゃ……なんだよい」
「ん?シャツだよ!うっかり破いちまって、チシャが縫ってくれたんだ!」
バサッと広げて見せたのは、どう見てもマルコのシャツで。
「……俺のじゃねえかよいっ!」
なんで破けてんだ!とぽかりと殴るとエースがギャッと悲鳴を上げた。
「イテえッ!ちゃんと縫ってもらったんだからいいじゃねえか!」
「ったく……」
スタスタと歩いて行ってしまったマルコの背中に、殴られた頭をさすりながらエースはベーッと舌を出した。
チシャがクスッと笑い声を顰めて言った。
「エース隊長、マルコ隊長はね、焼きもち妬いてるのよ」
「??ヤキモチ?なんで?」
「エース隊長が初恋の人を抱きしめたいなんて言っちゃうから」
「……えっ!」
その瞬間、エースの顔は真っ赤に染まりそれからパアアアッと嬉しそうに笑った。
「や、ヤベッ!どうしよっ!うれしいっ!」
うひゃあ!と声を上げ、ジタバタと足をばたつかせる。
「追いかけたほうがいいんじゃない?」
「おうっ!」
走り出そうとして、エースが足を止める。
「なあ、チシャ。今度は髪、切ってくれねえ?」
くるりと振り返ったエースの顔は、白ひげの隊長の顔つきではなくてまるで小さな子供のようで。
「いつでもどうぞ」
「しししっ!」
チシャが縫い終えたシャツを握ってマルコの下に走り出す。
「おーい!マルコーッ!」
パタパタと走って行くエースの先には立ち止まったマルコの姿。
「このシャツ、もう着ねえなら俺にくれ」
「……好きにしろよい」
「へへへっ!サンキュ!」
聞こえてくる二人の会話に思わず笑みが零れた。
エースの初恋の話は残念ながらお姉さま方に報告できるようなスキャンダラスな話ではなかったけれど、マルコが焼きもちを妬くところを見られたのだから収穫は十分、とチシャは満足気に笑った。
エースが初めてちゃんと見た綺麗な(心身ともに)女の人ってマキノだと思うんだ。
「なんかいい匂いすんなぁ……」なんてドキドキして頬を染めてたらもう本気で可愛いわ……
そんでもって私はやっぱりマキノがお気に入りらしい。てかワンピキャラの女の人ってかわいいよねー。
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